かぐらむら

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今月の特集よき時間、よき思い出が擦り込まれている場所とモノ

古きを活かす

つつましとやさしさに戦後の和室の時間が流れている。

カド

photo建物は昭和24年に建てられた平屋で、30年代にして増築しているため外観は内部よりも新しいが、靴を脱ぎ、座敷にあがると、磨き上げられた床や鍼がほとんど当初のままの趣を残す。勝手口部分はもともと張ってあった組板をバーカウンターに再利用し、生まれ変わった素材が新空間にマッチしている。必要以上に手を加えず、不自然にならないように丁寧に手が施してある。さりげなく飾ってある皿は、上階に住むデザイナーが選りすぐったものを、飾り花や鉢は赤城坂の小路苑からと、神楽坂から発信される材料を店内に活かしている。

古い民家を店舗に再生するにあたり、「変に大きくいじりたくなかった。もともとあったいいものを自然にそのまま活かし、過剰な装飾を入れない、ということを大切にしました。」と店主の時岡孝行さん。「カド」は古き良き生活の息吹を残し、慎ましく改装され、現代に絶妙な癒しを与えてくれる和空間となっている。

photo時岡さんは、神楽坂に祖父母がおり、幼少のころからこの土地に対する思いがあった。サラリーマン時代も神楽坂近辺で勤務し、その後退職し、毘沙門裏に飲食他「トキオカ」を開店する。民家との出会いは昨年5月、知人を介しての偶然であった。それから約二か月、大切に磨き上げられた民家の素材を活かし、「カド」をオープンした。