かぐらむら

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今月の特集人間の裸の五感を研ぎ澄ましてみると神楽坂のまちは、どんな風に感じられるのだろうか?

五感で歩く神楽坂 - 匂い編

水と風と匂い

photo「町の匂い」を書き分ける作家は意外にそう多くはない。小さい頃より引越を繰り返し、定住の地を持てなかったというある作家は、そうであるがゆえの「町の匂いを嗅ぎ分ける能力」を自負する。そして

「どの町の匂いも決していわゆるいい匂いではなくて、けれどそれなりに優しかった」

と語る。(鷺沢萠『町へ出よう、キスをしよう』より)

一人のよそ者として感じる神楽坂の町のにおいとは、水のそれだ。ちょうど春を少しすぎた頃、これから雨が降ろうかというときの湿り気を帯びた空気は、何かが起こることを期待させ、足を外に向けさせる。雨に降られることは気分のいいものではないにしても、石畳には水が似合う。そして、どこからか緑や土のにおいを運んできてくれる。

photoまた多少暑いときでも、外濠から来るであろう水分を含んだ風は、やさしく感じられるのだ。そういう風が吹き抜ける場所はどこか?昼寝をしている猫に聞いてみるといいだろう。(高)