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今月の特集神楽坂大学 第1回

和のお稽古

東八拳

稗田君子さん

photo江戸に伝わる、華やかで粋なお座敷遊び

今年の「まちとびフェスタ」でも盛り上がった東八拳(とうはちけん)。これは簡単に言うとジャンケン遊びのようなもので、グー、チョキ、パーの代わりに、キツネ、鉄砲打ち、庄屋の3つを身体で表現して勝負を決める、華やかで粋な遊びだ。
遊びといっても歴史と格式があるのが東八拳の特徴。勝ち負けだけでなく、粋なふるまいと内面の美しさを重んじた「真剣な遊び」として、江戸時代あたりから花柳界で発展。昭和には神楽坂でも粋筋が盛んに拳を打った。
三代目東水舎家元・東水舎東八さんは、普段は優しいおばあちゃんという雰囲気なのに、ひとたび拳を打つと家元の顔に早変わり。ピタリ、ピタリと型を決め、「一本間」という離れ業を、日本舞踊のように美しくこなす姿に惚れ惚れしてしまう。

花柳界の生き字引

家元は、昭和9年・10歳から神楽坂の置屋に入った。たくさんのお稽古事の中に東八拳があり、料亭「喜多川」の女将さんが二代目東水舎東八だった。(初代はそのお父さん)。さらにもう一人の師匠にも見込まれ、東八拳も習得し、神楽坂でも芸達者な芸者として活躍した。神楽坂のまちと人を知り尽くした生き字引的存在の家元だから、華やかなりし戦前の神楽坂の様子を聞くだけでも楽しい。
先代から東水舎の軍配を託されたのをきっかけに、東八拳の伝統を後世に残したいと三代目襲名を決意したのが平成10年のこと。以来、数ある流派のなかでも美しさに定評がある拳を熱心に指導している。
お弟子さんは現在6人。家元に認められると浅草で開かれる大会に出て、相撲と同じように番付を競う。
宴席のお座敷遊びではあるけれど、本来は武士道に根ざした「拳道」ともいうべき奥深さをもつ東八拳。「はじめは、おもしろい遊びだな程度で気軽に楽しくやってくれればいいんです。そのうち自然に、精神的な深みに気づいてくるんじゃないでしょうか」。
家元は、かけがえのない江戸の無形文化を次の世代に、という一心で、「アタシ今、燃えてンのよ」と冗談っぽく本音を語る。
伝統文化に触れる。ゲームを楽しむ。きっかけはいろいろあるけれど、自分の内面を磨くこともできるのが東八拳の一番の魅力。がんばり次第で早いうちに大会出場もかないそうだ。興味のある人は気軽に問い合わせてみてはいかが。
(写真は3代目襲名披露のとき)

photo●稽古日
毎週土曜
●稽古場
新宿区矢来町103
TEL.03-3268-4884(稗田君子)