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今月の特集自由自在な視点から見た“私の神楽坂”

脇道から眺めた神楽坂

ちょっと人恋しくなったとき、ゆっくり銭湯へいこう

―神楽坂の銭湯―

photo庶民の日常に欠かせない場所としての銭湯。近頃はコミュニティ銭湯などと江戸時代の「ふるまい風呂」のように、飲食と入浴をセットで日長楽しめる処もあるが、一日の仕事の区切りに行く銭湯は又、格別のもの。銭湯でくつろぎ、顔見知りと会話を楽しむ、情報交換の場としての働きも大きい。ここ牛込、神楽坂界隈は、焼け野原となった終戦後まもなく4軒の銭湯が出来て、その後10年ほどの間には31軒にもなり、一日600人〜800人の入浴客を捌いたという。今、神楽坂には古くからの熱海湯、第三玉の湯の2軒のみとなった。

タイルの洗い場、カランの普及は昭和4年頃から。木の洗い桶がタイルに当って反響する独特の音は、湯の匂いと共に銭湯を語ってくれるものだ。内風呂の少なかった当時は、開店を待って乳飲み児を抱いた若い母親が列をなして、10床のベビーベッドが足りず、1台に2人寝かせることもあったとか。神楽坂という土地柄で多くの芸者さん達が化粧前と化粧落しに1日2回通うのが普通だったという。年の瀬など、島田に結った芸者さんが、湯舟に浸っているのに出会ったりするのも今は見られなくなった。

photo銭湯の名物、背景画の富士山のペンキ絵も今はタイルやフィルムの絵に替わった。銭湯といえば番台だが、いつ頃からかフロント形式に変わってきている。現在、神楽坂の熱海湯は、番台形式でレトロな雰囲気もそのまま残されている。備長炭風呂、気泡風呂などが楽しめる。第三玉の湯はフロント形式である。十数種の漢方薬湯は体をゆっくり暖めてくれる。サウナの設備もある。大きな浴槽が心と体をリラックスさせる効果が多いということが北海道大学の医学部の調査で証明されている。広々と明るく、清潔な銭湯を特に食わず嫌いの若者におすすめします。(多田まさ子)