かぐらむら

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今月の特集自由、気ままな過ごし方

“神楽坂好み”の時間

誰かと共有する時間

◆よ

photo7月×日 見知らぬ人
神楽坂では時間がゆっくり流れる。そう感じられるのは、坂を下ることより、上っている方が多いからだろうか。お祭りを数日後に控え、ちょうちんが揺れる坂をぐんぐん上っていくと、夕方の開店に向けて打ち水をしたり、自分の店の前できりりとした顔をしながら、通りを見渡す店主がいる。横柄な車が、狭い道をぐいぐいと我が物顔で曲がって行く間、隅っこで小さく立ち止まる。見知らぬ人と顔を見合わせては、苦笑する。

8月×日 カフェのオーナー
交差点でばったり会った知り合いは、すぐそこの同じ喫茶店に向かうところ。偶然を喜ぶ道のりは、短い。数ヶ月に1回しか訪れない無礼な客を、オーナーは覚えていてくれる。まるで昨日の話の続きをするように、会話を紡いでいく時間は、本当にたからものだ。ついつい立ち上がるのをためらってしまい、気づけば夜である。

9月×日 老舗の店主
赤城神社の赤い鳥居とうっそうとした緑のコントラストは、夕方だと少し怖く感じられる。朝は爽やかな風景なのに…と坂を下って行けば、豪快に笑う老舗の店主が「なに、また神楽坂来ちゃったの?」と愛嬌たっぷりに話しかけてくれる。ついつい話し込む。落ち葉がゆっくりと積もり行くように、神楽坂ではちゃんと時間が蓄積されている。そのことを大切にしている人たちがいる場所だ。