かぐらむら

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今月の特集10年後の未来図を視てみたら……

平成30年の神楽坂[前篇]

こんな私じゃなかったにゃ

よしだみよこ[イラストレーター]

photo今やこの町は、すっかり「猫町神楽坂」と呼ばれるようになった。

野良猫と呼ばれる猫はいなくなり、内猫も外猫も、すべての猫にはIDチップが埋め込まれ、行動管理され、安全な生活が保障されるようになった。商店街の3割は、猫関連のお店になり、本物の「招き猫」が認められるようになった。熱海湯の裏には、猫のカリスマ美容師がいる、とか、猫界のブラックジャックが箪笥町あたりにいる、という噂もたつようになり、さらには、昔ぽち袋に描かれていた「Bar Bishamon」が袋町のはずれにオープンする、という話もきくようになった。また、他業界とのコラボレーションも盛んになり、ルイ・ヴィトンや、カルティエなどのブランドが、こぞって神楽坂の猫界に進出しはじめ、1着50万の服や、1本100万のダイヤの首輪があたり前のように、ブレイクした。見番では、月に一度、秘密のテストをもうけ、それに合格した猫は芸者さんと一緒に堂々とお座敷にあがるまでになったのだが、あまりにも猫に人気が集中して、お座敷での愛憎劇があるとかないとか。玉に傷な話も囁かれるようになった。

そもそも、一体なぜこのようなことになったのかというと、今から10年前に、和可菜の軒下で、めめちゃんの生まれ変わりと思しき黒猫の赤ん坊が発見されたことから、町全体が水面下で猫町計画を遂行してきたらしいのである。めめちゃん2世は今やお座敷のトップアイドルで、先日の新東京タワーのライトアップの点灯式にも、特別ゲストとして招かれ、人気を不動のものとした。近いうち、CDデビューする予定である。曲はもちろん、その昔大ブレイクした芸者「神楽坂はん子」姐さんへのオマージュをこめて、「こんな私じゃなかったにゃ」である。