かぐらむら

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今月の特集10年後の未来図を視てみたら……

平成30年の神楽坂[後編]

十年後も神頼み?

尾島徑子[テキスタイルデザイナー]

photo神楽坂に住んで50年余り。庭のネズミモチの大木が、冬、灰紫色の実をたわわにつける。これを、当てにしてヒヨドリがやってくる。毎年決まって正月4日の昼どき、空が暗くなる程の大群で、突然騒がしくなったと思うと一斉に実をついばみはじめ激しい音をたてて殆ど食べ尽くし、食べカスとフンで庭中を汚して飛び去って行く。その間、僅か1時間足らず。年に1度の大饗宴だ。
今や観光地となった神楽坂は、そんな季節感を味わう余裕もないくらい、めまぐるしく変わっている。“神楽坂らしいでしょ”といった感じの店が続々登場し、まるで舞台装置の中にいるようだ。皮肉なことに有名になる程、地元の人が減り、神楽坂らしさが薄れて行く。神楽坂の雰囲気は、発展から取り残された結果でもあり、遅れていることの豊かさが魅力になっているとも言える。変化はもっとゆっくり、が良い。均一化され、表情を失った街にしたくない。
ところで、ヒヨドリだが、どう言う訳か今年は、大饗宴はなく、時折3〜4羽が連れ立って来ただけだった。これって何かのお知らせ……?
そこで、わが街の行く末を案じて、正月、赤城神社でおみくじをひいた。大吉。“潜み居し淵の龍らも時を得て雲居に登る影のめでたさ”何ごとも末の見込み良く、龍が風や雲の力を得て天に昇るように出世する、とか。ともかく素晴らしい運勢のようで有難いこと。10年後の神楽坂も、まずは、めでたし……かな?