かぐらむら

Top > 神楽坂 手仕事の現場から > (02)
今月の特集手づくりの心意気を神楽坂で感じてみる

神楽坂 手仕事の現場から

染めて、紡いで、織る、考える手

Viale(ヴィアーレ)

photo神楽坂通りから見える「ヴィアーレ」は、どこか北欧のアトリエのような雰囲気が漂っている。大きな窓から見える機織り、鮮やかな色彩の原毛、糸紡ぎの道具などがそんな風に感じさせる。三十五年近く前に尾島徑子さんがオープンしたこの工房では、糸を染めて、紡いで、布に織るまでのすべての工程をできるだけ分業化せずに行なっている。さらに草木染めの原材料の調達のため、山野へでかけることもある。

「若い頃には、草木染めというのは、色がくすんだものばかりという先入観がありました。ところが、ある時に合宿をして自分の手で採集した植物で染めてみたら、想像していたよりはるかに美しい色が出て驚いたのです」それからは、カリヤス、キハダ、アカネ、ハルジオン、と次々に染めているうちに夢中になってから三十年以上、色見本は三千以上にのぼる。染めた植物については、採取の時期、使用する部位、媒染の仕方など様々なデータ記録を残し、研究室のよう。「隣にどんな色がきても、(草木染めは)けんかせず、なじんでいるし、影もきれいなんです」尾島さんの染めた草木染めの作品は、どれも色が鮮やかで決してくすんでいない。

photo工房三階のロフトにあがると、機織り機がずらりと並んでいる。その数、スウェーデン製から国産のものまで全部で二十台以上。ここでは、機織りを学ぶ人のために講座が開かれている。細い一本の糸が、染められ、紡いで織られ、美しい一枚の布になるまで、手抜きをせずに丁寧に作られている。手間はかかるし、効率はわるく、のろのろとした歩みだが、現代においてその体験は貴重そのものである。
【住所】東京都新宿区天神町13
【電話】03-3269-7998