かぐらむら

Top > 手仕事の現場から > (04)
今月の特集後編神楽坂の職人が発するクリエイティブの胎動

手仕事の現場から

足と対話する職人

足と靴の店 ポディア

photo靴職人というとあるイメージがあるが、本社工場は別にあるので、ここで「靴を作る」わけではない。ただし、「足と靴の店」と謳うとおり、それぞれの足に合わせた靴選びを旨としている。
2008年4月に神楽坂店に配属された鈴木章浩さんは、外反母趾などの足の問題の背景に、「『だんびろ甲高』といわれてきた日本人の足が、男女を問わずどんどん細く、きゃしゃに、そして弱くなってきた」ことを指摘する。幅広と思いこんで靴を選ぶと、骨格から変調をもたらしうることを模型を用いて解説してくれた。問題は「足先」ではなく、「足全体」なのである。ちなみに下の写真は、ここで用意されている多様な足幅(向かって左が3E、右端が最も細いC)。同じ「長さ」でもこれだけ違ってくるのである。
この靴選びのために、「足の大きさ」は、左右別々、甲まわりまできちんと測る。「服や眼鏡を選ぶ時にはきちんと測るじゃないですか」といわれて、納得。さらに、「フットプリント」で足の重心のかかりかたなどを把握し、くわえて膝や腰の状態もチェックする。微妙な足腰のアンバランスが、足の状態に現れてくるのである。

そうした足の状態にきめ細かく合わせるのに推奨されているのが、インソール(中敷き)のオーダーメイド。クッションのような器械に足をのっけて足型をとる。しかし、粘度細工のようにこねて、元の足型を修正しだす。単に現状に合わせるだけでは「癖」が残ってしまうので、「歩きやすい理想形をさぐるのです」とのこと。出来上がったインソールは、「土踏まず」の盛り上がり部分が意外に大きく、そして「後ろ」にくる。単にへこんだところに合わせるのではなく、「アーチ」という骨格に合わせているわけである。
カウンセリングという表現が似合う一連の作業では、「ヒトの注文」だけではなく、「足」への聞き取りでもある。「ヒト」と「モノ」とをつなぐことに手間ひまをかけるのも、職人のありかたの一つであることを感じる。
今回、お話を聞いていて、オーダーメイドやシューフィットというよりも、カウンセリングなどといった表現の方が似合うような気がした。しかも、その聞き取りは、「ヒトの注文」だけではなく、「足」そのものに対しても時間をかけて、根気よくなされている。それは数分でおわるようなものではないので、このお店では「話す姿」をよく見掛けたわけである。「職人」というと、モノ相手に「こつこつ作りあげる」という印象が強い。しかし、「ヒト」と「モノ」とをつなぐことに手間ひまをかけるのも、職人のありかたの一つであることを感じた。

photoポディア
【住所】東京都新宿区新小川町9-6 新畑戸ビル1F
【電話】03-5225-0054
【URL】http://podia.biz/