かぐらむら

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今月の特集10年後のまちへ伝えたい、4つの試み

持続可能なまちづくり

登録文化財制度

〈区とNPOの共同事業が2010年4月スタート〉

photo文化庁が1996年10月より推進させている「登録文化財制度」。これは、築50年以上が経った建物で「国土の歴史的景観に寄与するもの」「造形の規範になっているもの」「再現が容易でないもの」のいずれかに該当していれば、申請できる制度です。神楽坂にも、この制度が利用できそうないわば“まちの宝”となる建物がいくつも残されています。こうした“まちの宝”を新宿区と地元NPOが一緒になって積極的に登録普及をさせるプロジェクトが2010年4月からスタートします。
今までは、「文化財になると釘一本打てず、不便になる」というイメージが強かったのですが、一定の外観を保てば、リフォームも内装変更も可、店舗やカフェの営業も可という、ゆるやかな保護のための制度なのです。登録による優遇措置としては、「改修工事設計監理料1/2補助」「相続財産評価額(土地含む)3/10控除」「家屋の固定資産税1/2減免」「地価税1/2減免」などもあり、メリットは決して少なくありません。

しかしなによりも誇らしいのは、文化庁から支給される真鍮のプレート。そこには「この建物は、貴重な国民のための財産です」と書いてあります。さらに「建物は所有者のものですが、同時にみんなの記憶のよすがであり、地域の景色の大切な主人公なのです」というメッセージが、まちを愛する人々の心にしっかりと刻まれます。
神楽坂の路地のあちこちに、控えめであってもキラリと輝く「主人公」たちが登録文化財としてどんどん認められていく…、そんな未来を想像します。「これを壊すなんてとんでもない」というコンセンサスが、地域の共通認識として定着する、その大きなきっかけになるはずだと思います。

神楽坂のような密集市街地では、味わいのある木造建造物の改修や建替えの時に現状を保つことは難しいです。建築基準法により、接道・防火・建ぺい率などのさまざまな規制がかかってくるからです。しかし、登録文化財になっていれば、区の決断と建築審査会の同意を得ることで同法の適用を除外できる可能性もあります。ソフト面での防災対策をセットにすれば、歴史的な景観をそのままに安全で快適なまちをつくる道は拓けます。建物の所有者も、地域住民も、建築の専門家も、みんなが智慧を出し合って、まちなみを構成する一つのひとつの建物を守り、残していく方法を考えていけるのです。所有者に過度の負担を押し付けることなく、地域全体で支えていく仕組みをつくるためにも、登録文化財制度による顕彰は、「いますぐできる第一歩」といえるのではないでしょうか。