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今月の特集好村兼一vs神田織音

「神楽坂の仇討ち」 を語る。

題材は同じでも小説と講談の違い

photo織音 もともと講談で知っているお話で、しかも、昨年とりかかったばかりのお話でしたから、興味津々に読ませていただきました。実は、私は二段(剣道)で、好村さんは大先輩にあたる訳です。
好村 それは話が早い。うれしいです。
織音 剣のことが非常に詳しく書かれていましたので、思わず頷いたりしました。私が昨年、神楽坂の山口則彦さんとつくったお話は、富吉と甚内、戸賀崎熊太郎の三人がいるとすると、ボリューム的には、戸賀崎よりも一番富吉に焦点をあてています。でも、好村さんの本では、戸賀崎に一番スポットがあたっていました。

好村 あとがきにも書きましたが、私が懇意にしている剣道の先生が埼玉の久喜市におられまして、その方が戸賀崎熊太郎の直系のご子孫なんです。私もその道場ができた時にお訪ねして、ご先祖の屋敷地やお墓を見せてもらいました。その時に戸賀崎先生から史料をいただいたのです。その時の史料の原書を尊重しながら、自分なりに脚色をして本にできないかな、と思ったわけです。仇討ちに到る筋道や仇討の綾などは、できるだけ伝承のままにしました。私は講談の方は聞いていないのですが、たぶんその辺は一緒だと思うのですが。

織音 講談もそのストーリーは、ほぼ同じです。史実に基づくというのが講談の基本ですから。講談は、富吉の苦悩からはじまるわけです。百姓の出身ながら父の仇を討とうと江戸にやって来ても、すぐに道場が受け入れてくれない。どこへ行っても百姓に剣道は教えられない、百姓に剣術なんて必要ないと門前払いをくらうのです。そのくだりが講談では、ちょっと長いのです。
好村 私の本では、剣の話、稽古の話から入り、後から富吉が道場にやって来るという展開です。剣道経験者なら、その辺はよくわかるのではないですか?
織音 はい、とてもよくわかりました。