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今月の特集履物店「助六」/代表取締役 石井 要吉

履物の鼻緒を挿げる

客の姿形から足の形がわかる

photo3代目の要吉さんは、高校卒業後小田原で2年間修業をして家業を継いだ。しかし、しばらくして26歳の時に慶應義塾大学の法学部に入学。異色の経歴だ。

助六では履物の鼻緒の微調整をしてお客に提供するのだが、実際に履いてもらいながらするのかと思いきや、要吉さん曰く「そんな失礼なことはできません。その方の姿形から足の形がわかるんです。当然例外はありますが、人物を見て足の形がわからなければ、この仕事はつとまりません」と。長年履物と正面から向きあってきた経験からくる言葉に、職人の矜持を見た気がした。

ある年配の男性が、年下の友人の結婚式に和装で出席した際に、助六で草履を買い求めた。体育館のような床の会場だと聞いた要吉さんは、滑らないように皮底のかかとにその場でゴムを取り付けてくれた。「私も滑った経験があるんですよ(笑)」と照れくさそうに笑う姿に、要吉さんのやさしい人柄が滲み出ていた。